当サイトの記事に複数の方から「ユニクロのシャツが良くなっているのでひ買ってみてほしい」というコメントを頂いていました。
本格的なレビューはまだ出来ていないのですが、細かい点で驚いたことがあったのでショートな記事でご報告します。
1.ボタンが鳥足掛けになっていた
一つめの驚きは、ボタンの縫い付けが「鳥足掛け」になっていたことです。
鳥足掛けとは
鳥足掛けとは、主にシャツのボタンを縫い付ける際の技法です。
通常、ボタンは、安価な服を中心に機械で取り付けると「〓」に、手縫いや高級な機械を使うと「×」になるのが主流でした。
そして、イタリアの高級シャツブランドや日本の手縫い工場を中心に、差別化として鳥の足のような形に縫い付け、差別化を図ったのが「鳥足掛け」です。
鳥足掛けのメリット
鳥足掛けは、見た目の差別化、つまり「これは手縫いの高いシャツだよ」というアピールになりますが、もう一つ実用的なメリットがあります。
それは、ボタンがとても掛けやすく、かつ外しやすくなることです。
通常、「〓」「×」型に取り付けられたボタンの支点は、ボタンの中心に来ます。(画像右側)
一方、鳥足掛けしたボタンは、支点が辺縁に移動します(画像左側)。そして、支点が移動することでボタンの可動域が広がり、ボタンの止め外しが楽になるのです。
ユニクロシャツの鳥足掛けボタン
ユニクロの鳥足掛けボタンは、縫製を見るかぎり(確信はありませんが)恐らく機械縫製だと思います。
以前、シャツ屋に聞いたのは、「鳥足掛けは、できる機械は今のところ市販されていないので、手縫いにせざるを得ない」ということでした。これは推測ですが、ユニクロのことなので、鳥足掛け出来る機械を独自開発したのでは無いでしょうか。(情報お持ちの方、ぜひコメント欄から教えてください。)
というのも、たとえば今回購入した半袖の「ドライノンアイロンジャージーシャツ/ボタンダウン」は1着定価2,990円、セール時は1,990円です。
そして、このシャツはボタンが9個もついており、その全てが鳥足掛けになっています。この価格では、全てのボタンを手縫いで実現出来るはずはありませんし、実際、仕上がりも機械縫いに見えます。
使い心地
鳥足掛け、確かに使いやすいです。
特に、疲れて帰ってきたあとにボタンをスルスルと外すことが出来ます。これは本当に良い。
他のファストファッションメーカーは、絶対に追随出来ないでしょうねこれ……。
こぼれ話
独り身かつ仕事が暇なときは、集めた貝ボタン※を使って、安いシャツのボタンを貝ボタンかつ鳥足掛けで全て付け替える、なんてこともやっていました……。(安いシャツがとても高いシャツに見えます^^;。)
※シャツを捨てる際や、購入時の予備についてくる貝ボタンを集めておきます
2.柄あわせがほぼ出来ている
もう一つ驚いたのは、柄あわせがしっかり出来ていることです。
柄あわせとは
柄あわせとは、布と布の接続部分について、その柄が連続して見えるように取り付けることです。
こればかりは機械でやるのは難しいと思いますし、現場で働く職工への指導/訓練が必要になります。さらに、歩留まりの低下(出荷出来ない不良品の増加)や、余り布の増加、つまりコスト増につながります。
一方で、連続して綺麗に見えるため、見た目の良さに繋がりますし、一般人がシャツ品質の善し悪しを図る、手軽な指標になったりします^^;
ユニクロシャツの柄あわせ具合
今回確かめるのはストライプ柄です。ストライプは柄のズレが出やすい柄で、判別も容易です。
シャツの柄あわせで確認しやすいのは①剣ボロ(袖の開き部分)、②ヨーク(肩の背中部分)、③ポケット(ある場合)、④袖付けの4つ。
今回は半袖シャツを購入したので、①は無く、②~④で確認しましたが、概ね及第点です。むしろ、定価2,990円、セール時は1,990円の商品としては、信じられないほどよく出来ています。
3.終わりに
私がオーダーシャツに手を出し始めたのは今から15年以上前ですが、その頃シャツ屋やテーラーが良く言っていたのは、「ユニクロは下着屋としては優秀。服はまだまだ。」でした。
しかし、昨今の状況を踏まえると、一般のサラリーマンであれば、ジャケット以外はユニクロで満足出来るものになった、と感じています。
もちろん、家族が出来て服に掛けられる時間やコストが減った結果、要求レベルが下がったという見方もできますが、それでも今回取り上げた「鳥足掛け」「柄あわせ」をとっても、そのレベルの上がり方には驚かされます。
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