ノーネクタイが主流の職場でスーツを着続けることについて

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頂いた質問:

紳士服等、ファッション全般について、いつも楽しく、そして勉強させていただいております。

私が働いている職場では、今年度から通年ノーネクタイが可能となり、ほぼ周りの方はネクタイをしていない状態です。実際は、ネクタイをしてもしなくても良い制度なのですが、「ノーネクタイOK=ネクタイ無しが当然」のような雰囲気です。スーツスタイルを研究?している(ネクタイを含め、服を楽しむ)者からして、ノーネクタイが大多数を占めるのは残念でなりません。。。ネクタイをただ取っただけの見窄らしい格好なので、なんとも悲しい気持ちになります。私はやはり時期的に寒くなれば、当然ネクタイを締めるべきだと思い、今のところ、私だけ(役職で言えば、中堅どころよりも下くらい)は、人目を憚らず締めています。

このまま寒い時期も、ずっと周りの方々はノーネクタイだとすると、自分自身の格好も検討しなければと思う反面、スーツをビシッと格好良く着たいという願望とで葛藤しております。

服飾好きの方から、何か良いアドバイスなどがあれば、是非お聞かせ願えないでしょうか。(好きな服を着る。身につけるべき。周りの目は気にしない等々。笑)

――某公務員さん

回答:

中央省庁、地方公共団体、独立行政法人にかかわらず、公共分野は近年季節にかかわらずラフな格好が主流になりつつありますよね(個人的には仕事上接点が多いので、体感しています。ただし、政務対応をしている方は除く。)。

ただ「好きな服を着れば良い」というお返事ではありきたりですので、今回は少し違った視点から考えてみたいと思います。

 

1.差別化としてのスーツスタイル

皆が惰性や義務感からスーツを着なくなった昨今、むしろスーツスタイルは他者とのファッション上の差別化を図る、簡単なツールになったと感じています。

つまり、敢えてばっちりスーツスタイルを纏って、「仕事できる感」「信頼できる感」を醸し出すのもアリだと思います。

詳しく見てみると、ファッション上で差を付ける(他者よりオシャレに見せる)ときに、
 ①ラフな格好同士は差別化が難しい
 ②同じ格好同士は差別化は難しい
という2つのポイントがあります。

①ラフな格好同士は差別化が難しい

ノーネクタイのビジネスカジュアルを例に取ると、最低限はシャツ+スラックス(場合によってはポロシャツ+スラックス)で、これにジャケットを合わせるかどうか、になると思います。

つまり、ノーネクタイ/ノージャケットなどのラフな格好は装備点数が少なく、スポーティなデザインのものが主力になるため、質の良い素材が使いづらい、色合わせがしづらい、などのファッション上の工夫がしづらくなる傾向にあります。

②同じ格好同士は差別化は難しい

当然ですが、まわりがラフな格好だらけであれば、スーツスタイルにすることで雰囲気を差別化できます。

まわりがスーツスタイルだらけの時代から考えると、少しスタイリングに気を使う(だらしない格好のスーツスタイルにしない)だけで、スーツの持つ力で簡単に自身を格好良く見せることができます

むしろ、世の中がラフになってくれて有り難う、とすら思います。

 

2.場面ごとに、スーツスタイルを選択する

一方で、職場のほぼ全員がラフな格好の中、毎日スーツスタイルを突き通すと、「スーツの人」というキャラクター設定が発生することがあります。(上級管理職など、役職者であればそういった設定は発生しづらいですが……。)

したがって、そのような職場環境の場合は、特定の日(たとえば、組織外との打合せがある、外勤がある、講演がある等)にスーツスタイルを選び、メリハリをつける、というやり方もあります。

また、こうすることで、かえってスーツスタイルの日の格好良さを際立たせる効果もある、と勝手に思っています。

実は、私はこの方法を採用しています。

私の職場はIT関係ということもあり、フロア中ほぼラフな格好です。その中で、私はスーツの日もあれば、ジャケパンの日もあれば、ノージャケットのビジネスカジュアルの日もあります。

例えば、社外で講演がある日には当然三つ揃いでビシッと決めますし、軽い外勤の場合で先方にスーツ文化がなければジャケパンを、丸一日内勤であればノージャケットを、といった具合です。

私自身も、この強弱の付け方を最近は楽しめる様になりました。

 

3.とはいえ、他人はそんなに自分を見ていない

この趣味(スーツスタイル、靴、時計、鞄等々……)を持っていると、「自分が他人からどう見えているか」を意識しがちです。

そして、これはこれで大切な視点ではありますが、「自分が他人からどう見えているか」の意識に慣れすぎると、「自分は他人から常に見られている」という錯覚に陥りがちになります。

しかし、実際には、他人は「平等に皆を見ている」のであって、自分一人だけが観察されているわけでありません。つまり、あまり深く考えすぎる必要は無いのです。

もちろん、ファッションを含む見た目が他人に与える影響は大きく、だからこそスーツスタイルは重要になるのですが、一方で職場の同僚のように接点を長時間もっていると、外見が与える影響は減少していくとも言われています。

つまり、職場の中でまわりと違う格好をしていたとしても、最初こそ奇異の目で見られても、そのうち何も感じなくなる、と言うわけです。

前述の「スーツの人」も、たとえばTシャツだらけのITエンジニアだらけの職場に、ビシッとした三つ揃いの紳士が着任したとして、最初こそ「スーツの人」という覚えられ方をしますが、能力が認められると「XXでスゴイ人」という、別のレッテルに貼り変わります。(職場での実話です。ただし、私のことではありません^^;)

結論は、「好きな服を着ればよい」「自分がアガる服を着れば良い」なのですが、こういった考えの上にもこの結論に達する、というもう一つの見方としての参考になれば幸いです。

 

 

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