諸事情あって、パンツ(下着では無いズボンの方。正確にはジャケパン用スラックス)を複数購入することになりました。
従来は、パターンオーダーやイージーオーダーで型が気に入っている店で購入していたのですが、家族の付き添いで入ったユニクロの感動パンツを見て、代替可能なのでは? と感じ、手を出してみたら意外と良かった、という話です。
5~6年前にもユニクロのパンツに挑戦し、見た目や着心地などの理由から導入は断念したのですが、今回は改善されていました。
また、パンツでこのレベルならジャケットでも……と思い袖を通してみましたが、こちらはパターンオーダーやイージーオーダーには遠く及びませんでした。
今回は、ユニクロのパンツとジャケットが、オーダースーツ/オーダージャケパンにどっぷり浸かってきた人間にとってどう見えたのか、何故パンツは代替可能でジャケットは不可なのか、どこが良くてダメなのかを解説します。
1.「感動パンツ」で十分?
結論から述べると、パターン/イージーオーダーのパンツが勝る点も多いですが、それを踏まえても「日常の通勤や執務には十分」であると考えます。
十分な理由
十分な質感
以前のユニクロのパンツは、あからさまにテロテロな「化繊」の質感がありましたが、現在ではよく見ないと見分けられないほどウールっぽい質感です。
これは夏用の平織りで差が出づらいということもありますが、世界的規模で大量生産した結果、高品質な化繊生地が安価に提供されている、つまり超絶コストパフォーマンスが高い、という説明の方がしっくりきます。
といことで、生地の、見た目上のデメリットはほぼありません。
十分なシルエット
次に気になるのはシルエットですが、こちらも及第点です。
ポイントは、ウェストが3センチ刻みでかなりのサイズを選べること、さらに丈(レングス)も73、76、85と3種類に分かれており、股下丈を補正した(裾上げした)場合も、補正後に近い丈を予め選ぶことで、シルエットが変わりにくくなっています。
(ここはあまり語られる事はありませんが結構重要なポイントです。他のブランドは、裾上げ前提でウェストサイズのみのバリエーションが多いのですが、標準の長さでもっとも綺麗に見えるようパターンが作られるため、ウェストサイズに比べ足の長いor短い人のシルエットが悪くなります。)
△ 裾上げは、店舗の即日仕上げより、オンラインで注文した方が綺麗な気がする(写真はオンラインで注文したもの)
容易に洗濯可能
通常のオーダーパンツは、頻繁な洗濯(クリーニング)は適しておらず、ステテコを履く、ローテーションの数を増やす、スチームを当てて臭いを飛ばすなど、夏の汗対策をする必要がありました。
一方で、感動パンツは手軽に洗濯できるのは大きな強みです(しかも洗濯機可、乾燥も干すだけでアイロン不要)。
何よりも安価
そして、裾上げ込みで1本3,990、頻繁に行われるセール時には2,990円と、パターンオーダーパンツの1/5以下の金額であることは言うまでもありません。
夏場のパンツは消耗品に近く、特に外回りの多い営業職にあっては、摩耗が激しいです。綺麗な物を常に履き続けるためには、数を揃えられることも、重要なポイントの一つです。
イマイチだけど許容出来る部分
続いて、十分ではないけれど、許容出来る部分について説明します。
まぁまぁな履き心地
正直に言って、履き心地については、自身の脚の形(肉付きや立ち癖)にフィットしたオーダーしたパンツの方が好みです。しかし、感動パンツも許容範囲だと感じます。
理由は、生地がかなり伸縮するから。伸縮性のある生地によって、自身の脚の形に完全にフィットしていなかったとしても、立ったり座ったりが容易になります。
また、こういった伸縮する生地は往々にして寿命が短く(履かなくても加水分解でダメになる)、何年も履き続けるであろうオーダーパンツでは、選びにくいですよね。一方で、こういった製品であれば、遠慮無く選ぶ事ができます。
色の選択肢が少ない
現在オンラインストア含め展開されているのは、グレー2色、黒、紺、千鳥の5色/柄です。
個人的には、ジャケットとのコーディネートを考えると、もう少しグレーのトーンバリエーションを増やしてほしいのですが(せめて、ライトグレー、グレー、チャコールグレーの3色)、とはいえ許容範囲ではあります。
逆に言うと、カラーバリエーションの少なさで、先述した「超絶コスパ」を実現している可能性はあります。
なお、オーダーパンツであれば自分が好む生地を幅広く選ぶことが出来ますが、ビジネスシーンにおけるジャケパンにあっては、グレー以外の選択肢は色を合わせづらいので、まずはグレーの無地から選ぶ事をオススメします。
2.「感動ジャケット」では不十分?
一方、同じシリーズの感動ジャケットについては、まだまだ発展途上であり、個人的には選ぶ事が出来ませんでした。
一番は見た目が安っぽいこと
選べない理由の一番は、見た目が安っぽいことです。
感動パンツのところで「生地に十分な質感」と書いておいて逆のことを言うようですが、本当にぱっと見安っぽいのです(まぁ、金額が安いのでその通りなのですが……)。
理由はいくつかあるのですが、大きくは、軽く仕上げるために可能な限りパットや裏地などの構築感を出す資材を省いていること、ストレッチ素材すぎてニット感と大ジワが出やすいこと、さらにボタンなどの副資材がプラスチッキーであることの3つです。
まぁ、感動ジャケットの購買層における、ジャケットの購入理由は、「着用が義務っぽいシーンで羽織っておきたい」とか、「冷房で寒いときに備えて」など、かなり消極的な理由が多そうです。
つまり、ジャケットの構築感だとか、質感だとか、そういったものは不要だから、とにかく着やすくて、メンテしやすくて、安い製品を求めていると思われます。従って、チープな感じは許容範囲なのでしょう。
ボタンだけ変えたら良くなるかも
ヒントとして、「安いジャケットを高く見せる定番テクニック」なボタンの交換をご紹介しておきます。
ある程度の金額のジャケットには、水牛ボタンが使われていますが、ジャケットを捨てる前にこのボタンは切って取っておきましょう。
そして、安いジャケットに取り付けるだけで、雰囲気がガラッとかわり、高級感を纏うようになります。ユザワヤなどの、材料品店で購入しても良いです。
3.スーツでは無く、パンツで使い倒す
ということで、ユニクロの感動シリーズは、スーツとしてでは無く、ジャケパンのパンツとして使い倒すのが、現時点では個人的な最適解です。
オーダーパンツとの比較
私は、機械縫製のイージーオーダー、パターンオーダーから、アイロンワークを多用した手縫いのフルハンドメイドまで、様々なパンツ(スラックス)で散財を入手してきました。
その経験から言うと、パターンオーダーやイージーオーダーについては、極端に平均から外れる脚(鍛えすぎて脚が太い、極端な肥満/やせ体型など)でなければ、既製品との差別化がしにくいのです。
つまり、パンツのパターン/イージーオーダーは、お気に入りの生地を使いたい、など理由がなければ、コストパフォーマンスが下がり、積極的に選ぶ魅力はありません。(対する感動パンツは、ネットから注文して裾上げ込みで2~3日で到着、1着2,980円(セール時)ですからね……)
以前から、ジャケットははオーダー派だけど、パンツは綺麗なシルエットが売りの高級な既製品を選ぶ、という方もいるくらいです。
一方、フルオーダーとなると、アイロンワークによって平面の布が曲面に変わったり、腰骨位置での固定力が上がったりと、シルエットや履き心地が格段に変わります。が、値段は1着10万円程度と感動パンツが20~30本買えてしまう値段です。
使い分け
ということで、消耗品になりやすい夏場のジャケパン用パンツは、ランズエンド無き今、感動パンツが主戦力になりそうです。(既に3本購入しました。)
一方で、スーツ上下となると違います。少なくとも作業着ではなく格好良いスーツを着ようと思うと、感動シリーズは実用域に達していません。 従ってスーツは、パターンオーダーやイージーオーダーをオススメします。
あとは、カジュアルな休日用の「綿パン」で良い製品が出てくると嬉しいのですが、ユニクロには白やアイボリーといった薄い色の選択肢がなかったり、あってもイマドキの太すぎたり細すぎたりするシルエットしかなかったりと、今後に期待したいところです。
4.おわりに
コメントや質問箱経由で、ユニクロのパンツ(スラックス)やシャツが良くなったのでレビューしてほしいという声を複数の方から頂き、家族の付き添いで行った時に試しにパンツを購入してみたら思ったよりも使い所がありそうだったので、今回記事にしてみました。(いつもコメントや投書ありがとうございます。大変励みになります。&全ての要望にお応え出来ておらずスミマセン……)
シャツも購入済で、7月以降に実際に着ていこうと思うので、改めて記事にしたいと思います。
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近況報告1:
7月から仕事が変わることになりまして、引き継ぎやらなんやらでドタバタしています。
新しい職場は「強制クールビズ」「暑々職場」でして、これをどう乗り切ろうか思案しています。あれだけ嫌っていた半袖のワイシャツにも手を出さざるを得ないかもしれません(^^;
なお、記事冒頭の「諸事象」とは、このことです。
近況報告2:
相変わらずGoogle先生に嫌われており、現在インデックスされている記事は、かなり前のものが5つと、引き続き悲惨な状況です。
こうやって新規に記事を投稿しても、全くインデックスされないので、近況報告1の忙しさと相俟ってどんどん書く気力が削がれていくのですが、書くことそのものの楽しさもありますし、検索によらず定期的に見に来る方も少なからずいらっしゃることから、めげずに月1回でも書いていこうと思います。